かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
「ごめん、小毬。……約束、今日だけは破ってもいい?」

「えっ?――んっ」

 彼の唇が首筋を這い、思わず甘い声が漏れてしまう。ゆっくりと移動しながら私の首の後ろにキスをすると、きつく吸われチクリと痛みがはしる。

 なにをされたかすぐに理解できて、身体中が熱くなる。

 彼の腕の力が緩み、咄嗟に振り返るとすぐに口を塞がれた。

 逃さないと言うように将生の腕が背中と腰に回り、くちづけはよりいっそう深さを増す。

「あっ……」

 強く唇を吸われるとこらえていた声が漏れ、その隙をついて将生の舌が口内に侵入してきた。
 執拗に舌を絡めとられ、甘い刺激が身体中をはしる。

「小毬……」

 キスの合間に何度も呼ばれる自分の名前。彼の声は擦れていて、それが異様に鼓膜を刺激する。

 それにキスがいつもと違う。強弱をつけて舌を吸われたと思ったら、甘く絡ませてくる。とろけるようなキスに腰が抜けそう。将生の舌も熱くてその熱がこっちまで伝染して息が上がる。

 それに気づいた将生は、優しく唇を甘噛みしてきた。それがまた甘い刺激に代わり、くぐもった声が出てしまう。
< 77 / 265 >

この作品をシェア

pagetop