Serious Finght ー本気の戦いー
夜。夜月は本部基地の電気を消し、一人で大人達を待っていた。
【夜】「はぁ……。」
夜月は息を吐き心を落ち着かせている。

大丈夫……。私は成長したんだ。
と夜月は自分に言い聞かせた。

すると外から足音が聞こえてきた。そして大人達の騒がしい声。
この声の大きさ……、異常だ……。
夜月は嫌な予感がした。
すると突然扉が開く。
【大人】「おぉ、1人いたか。」
大人は電気を付け、夜月が居るのを確認する。
1人の大人が私に近くと、後ろから沢山の大人が本部基地の中へ入ってきた。
夜月の頭の中はパニックになり、上手く脳が働かない。

嘘でしょ……、2,3人じゃない……。5,6……10人も……!?こんな筈じゃ……。

夜月はこの瞬間、負けると悟った。

【大人】「しかも女だ。」
【大人】「お嬢ちゃん、1人か?」
男達は夜月に近づく。
この時夜月は動くことが出来ないでいた。やはり、大人が怖いのだろう。
大人に傷つけられて、大人に裏切られて……。昔の記憶が全て頭を過ぎった。
怖い……、怖い……、怖い……、
嫌だ……、嫌だ……、嫌だ……、
そんな事ばかり思ってしまう。周りにいる大人達が全員父に見えてしまう。
夜月の体は小刻みに震えていた。
【夜】「い……やぁ……。」
夜月は後退りをする。
【大人】「声震えてんじゃん、可愛い♪」
【大人】「怖がってんなぁ(笑)」
大人達は夜月をからかう。
【大人】「俺たち何もしないからさぁ、」
1人の大人はそう言うと、夜月の手を引っ張ろうとした。
【夜】「やめッ……てッ……!」
誰が助けて……。夜月はそう心の中で願った。

すると突然、本部基地の扉が開いた。
その場にいた全員は扉に目を向けた。そこに居たのは……、
【斗】「やめろッ!!」
斗真だ。
夜月は斗真の姿を見て安心したのか、床に座り込んで泣いてしまった。
【大人】「誰だ!お前らッ!!」
【龍】「は?教師だよッ。お前らこそ、子供相手に何やってんだよッ!!」
そこに龍も駆けつけ、大人達を蹴り飛ばした。

その後、龍が大人達を全員始末した。さすが、元ヤン。

斗真は、その場に泣き崩れていた夜月に駆け寄った。
そして優しく夜月を抱きしめた。
【斗】「怖かったよね……、ごめん、星空さんッ……。」
【夜】「セン……セイ……。」
夜月は斗真に抱きしめられ、ホッとしたのかまた静かな声で泣き続けた。
夜月の中にあった、苦しみ、辛さ、過去への恨み、寂しさが全て消えたような気した。それほど斗真という存在は夜月にとって大きかったのだろう。
【斗】「もう大丈夫だよ、俺がついてるから……。」
斗真はそう言って、強く強く夜月を抱きしめた。



夜月はようやく泣き止み、斗真と龍にお礼を言った。
【夜】「先生、助けてくれてありがとね。」
夜月の目は赤く腫れていた。
【斗】「これが教師としての責任だから。」
斗真はそう言うと、夜月の目に溜まっていた涙を拭った。
【夜】「私、弱いよね……。弱すぎるよね……。」
夜月はまた泣きそうになりながら言う。
【斗】「そんな事ないよ。」
【夜】「だって私、守られてばっかりで……。もう一人でも大丈夫って所見せたかったのになぁ……。やっぱり、何も出来ないよ……。」
斗真は誰に見せたかったのか察した。きっと、鉄くんに見せたかったんだと。
【龍】「夜月。」
夜月は首を傾げる。
【龍】「良く頑張ったな。」
龍はそう言うと、夜月の頭を撫でた。
【夜】「私何もしてなッ……、」
夜月は抵抗しようとするも、龍に抑えられ抵抗すら出来なかった。
【龍】「頑張った、頑張った!偉いぞぉ!!よしよし。」
龍は思いっきり夜月の頭を撫でる。その光景は親が子供の頭を撫でているようだった。
夜月にこんな経験はない。思いっきり撫でられた事など。
龍はその事を知っているからこそ、この気持ちを教えてやろうと思ったのだ。
撫でられると心が落ち着く。夜月にも分かってほしかったのだ。
【夜】「ちょっ、龍先生……!」
【龍】「夜月、お前は変わんなくて良いんだよ。変わろうとしたって、人間は変われないんだ。誰かに背中を押されて変われるんだ。自力じゃ無理って事だけ覚えていて欲しい。」
龍は真面目な顔で夜月にそう言った。
【龍】「斗真、もう暗いし夜月の事送ってやってくれ。俺はこいつらの後処理をする。」
龍は大人達を担いで何処かへ行ってしまった。
【斗】「それじゃ、帰ろうか。」
夜月はコクッと頷いた。


帰り道。斗真は夜月と並んで歩く。
【斗】「ねぇ、星空さん。」
【夜】「ん?」
夜月は斗真の方を見た。
斗真はその場に立ち止まり夜月の手を握る。そして、
【斗】「君を、俺に守らせてくれないか?」
と言った。夜月の目を真っ直ぐ見つめる。
【夜】「えっ……!?」
夜月は戸惑った。当たり前だ、教師に告白されるなんて漫画でしか見た事ないからな。
【斗】「教師として一人の生徒を甘やかすのはいけない事だって分かっている。……でも、君を守りたい。守ってあげたいんだ。……もう、この気持ちに嘘はつけないよ。……俺は本気だよ。」
夜月は何も喋れなかった。嬉しいのか辛いのか……分からない。
【聖】「お前に夜月は守れない。」
聖也の声が聞こえた。聖也は少し怪我をしている。
【斗】「何でかな?」
【聖】「お前は夜月の事、何も分かってない。そんな奴が夜月を守れる訳ないだろ。」
聖也は冷たい目線で斗真を睨みつける。
【斗】「そんな事、分かってるよ。それでもッ、」
【聖】「お前に夜月は渡さねぇ。行くぞ。」
聖也は斗真の言葉を遮り、夜月の手を引っ張り歩き出した。




【夜】「聖也ッ!!待ってよ!!」
夜月は泣きそうになりながら、聖也を止めた。
【聖】「んだよ。」
【夜】「私は誰にも守られたくない……。」
夜月の本音が聖也の心に刺さる。
【聖】「そんなの、無理に決まってんだろ。」
聖也の言葉が夜月の心をえぐる。
【夜】「何でッ。」
【聖】「お前は弱いんだよ!!弱いくせに強がって……!不良になったところでお前は何も変わって無いんだよ!!弱いままなんだよ!!」
カッとなってしまった聖也は夜月を傷つけてしまった。
【夜】「……、そうだよねッ……。ごめんッ……。」
夜月はそう言って、その場から立ち去ってしまった。
【聖】「夜月……!!」
呼んでも無駄だ。彼女を、好きな奴を傷つけてしまったんだから。
聖也は自分の情け無さを悔やんだ。
きっと、斗真だったら彼女を幸せにしてやれたんだろうか。
そう思ってしまう自分がいる。と聖也は思った。
【聖】「……俺の傍に居てくれよ……。」



【斗】「俺だけに、甘えてよ……。」




【夜】「私は何も変わってない……。変われないんだ。」


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