Serious Finght ー本気の戦いー
夜、友は夜月の家ヘ向かった。向かうといっても、隣なんだか。
一応合鍵を持っているので、勝手に家のドアを開ける。そして夜月の部屋前まで来た。

【友】「夜月、入るぞ。」
友は扉越しに夜月を呼び、扉を開けた。
【夜】「友ちゃん……。」
そこには涙で顔がぐちょぐちょになった夜月がいた。
【友】「お前、どうしたんだ……?」
友は夜月の隣に座り涙を拭う。
【夜】「友ちゃん、……私、強くなれないよ……。どうして良いか分からない……。何をしても、無駄になるんだッ……。」
夜月はそう言うと、友に抱きついた。
【夜】「一人じゃ何も出来ない……。一人じゃ戦えないんだ……。弱い、弱い、弱い、……強くなりたい……!」
夜月はそう言いながら、友の腕の中で泣き続けた。今まで溜めて来た感情を全て友にぶつける。友は嫌がる事もなく、冷静に夜月の感情を受け止めた。
【友】「一人じゃ何も出来ない、そんなの当たり前だろ。お前は一人で育ったのか?違ういろんな人に支えられて今のお前がいる。……誰かに頼るって事も必要なんだよ。それじゃなきゃ、生きている資格はない。」
【夜】「そんなの、分かってるよ!!……私は頼り過ぎた、……だから聖也に、弱いって言われたんだ。」
夜月は友の服を強く握る。
【友】「あいつはそんな事言う奴じゃないだろう?それにお前は深く考えすぎ。」
【夜】「そんな事、ない……。」
【友】「そんな事あるんだよ。お前は、強くなろうとし過ぎなんだ。それで自分を追い詰めて、そんな事したって無理に決まってるだろう?……無理に強くなろうとするな、お前はお前らしく生きていればいいんだから。……ありのままの自分でいろ。誰も文句何か言いやしないさ。……弱いだなんて思うなよ?」
そう言うと友はニカッと夜月に笑顔を向けた。
それでも夜月は不満そうな顔をする。
【夜】「でもッ……。」
【友】「大丈夫だよ。一人で戦えなくたって、お前には仲間が居るだろ?あいつらと一緒に成長していけばいいだけだよ。それがお前の強くなる方法。……あと、守ってくれる奴を傷つけんなよ。素直に受け止めてやれ。」
友はそう言うと、夜月を離した。
【夜】「分かったよ……。」
【友】「よしよし、良い子だ。」

夜月は友の手をギュッと握る。
夜月は寂しくなると誰かの手を握らなければ落ち着かないのだ。
【友】「何だ?寂しかったのか?」
友はニヤリと笑う。
【夜】「別に……。」
【友】「嘘つけ、お前が手を握るのは寂しかったって証拠だからな。」
友はそう言うと、夜月の手を握り返した。
【友】「ほんと、素直じゃねぇな夜月は。」
【夜】「うるさい。」

夜月は友の手を握ったまま、眠ってしまった。




職員室には、斗真と龍が残って作業している。
【斗】「はぁ……。」
斗真は深いため息をついた。
【龍】「何だよ、そのため息。……しゃあねぇ、1杯やるか?」
龍は上機嫌に言う。
【斗】「おう。」
そう言うとふたりはカバンを持ち、職員室を後にした。



居酒屋に着くと、すぐさまビールを2つ頼んだ。
ビールが来るとふたりは「乾杯」と言い、一気に飲み干す。
【龍】「ぷはぁ~!仕事終わりに飲むビールは格別だなぁ!!」
【斗】「はぁ~、旨ッ」
ふたりは同時にジョッキを置く。
【龍】「お前って、酒駄目だったっけ?」
【斗】「うん、駄目だよ?」
斗真は首を傾げた。
弱くて悪い?という感じがもろに伝わってくる。
【龍】「マジかよ!?……一気飲みすんなよなぁ……。」
龍は壁にもたれかかった。


【斗】「星空さん……、星空さん……、……。」
斗真は机に突っ伏している。この姿を見る限り、飲み過ぎだ。と言ってもジョッキ3杯しか飲んでいない。
【龍】「お前、夜月の事呼びすぎ。これで15回目だぞ?」
【斗】「しょうがないだろう?……俺の言葉で彼女を傷つけてしまったかもしれないんだからッ……!」
斗真はそう言うと、4杯目のジョッキに手をつけた。
【龍】「マジかよ……!?……それで、なんて言ったんだ?」
龍はニヤニヤしながら聞いてくる。
【斗】「星空さんの事、守りたいって……。」
【龍】「なんじゃそりゃ。」
龍はタコ揚げを1つ食べた。
【斗】「一人の生徒を特別扱いしちゃいけないって事は重々承知だよ?でもさぁ~、俺好きになっちゃったんだよぉ!」
斗真は泣きながらビールをグイッと飲む。
龍はこいつ、酔いすぎじゃないか?と思っていたが口には出さなかった。
【龍】「……守ってやれば?」
龍はふと声に出した。
【斗】「えっ……?」
斗真は龍の発した一言に驚いている。
【龍】「守ってあげればいいじゃん。……でも、生徒との恋愛は禁止だけどな。バレないぶんにはいいんじゃね?」
龍は軽い口調で言ったが、斗真からしてみれば凄く重く感じた。
やはり生徒との恋愛は禁止。分かっていた筈なのに、斗真には苦しく感じてしまう。それほど、夜月が好きなのだと、思う。
【斗】「うん……。」
【龍】「そろそろ帰るか。……お前、一人で帰れるのか?」
龍はお会計を済ませ、斗真に尋ねた。
【斗】「大丈夫、家近いからぁ。それじゃあねぇ。」
【龍】「気をつけろよー!」
斗真はフラフラしながら自分の家へ帰って行った。
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