君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
「だったら…俺ら邪魔者はいなくなるんで、先輩は貴哉のこと独占しちゃって下さい!」
聖也さん…あなたはなんて空気が読めるんだ!
「独占て…。え…?」
飛鳥ちゃんには独占欲とか嫉妬とか、あまり無さそうだなぁ。
俺としましては、少しくらい「貴哉くんは私のだもん!」とか言われたいものだけど…ん?
夏祭りの時に言ってたか。思い出したら心臓うねってるよ、どうしよう。
「はいはいっ、行った行った!」
「ええっ…?!」
聖也は飛鳥ちゃんのリュックを自分の肩に勝手に掛けて、その上彼女の肩をグイグイ押して廊下の方に行かせる。
「ええっ、ちょっ…」
飛鳥ちゃんが最大限に戸惑っていますが。
聖也が飛鳥ちゃんの肩掴んでるのは少し気に食わないけど…まあいいよ、今回は厚意でやってくれてるだけなんで…うん。
本当は割とモヤッてるけどね!!
佐倉くんにチラッと目をやると、何考えてるのか分からない表情でこちらを見ている。
付き合いの長い飛鳥ちゃんでさえ理解不能って言われてる佐倉くんだ。生佐倉くん歴の短い俺になんて、もっと分かるわけがない。
俺の飛鳥を奪いやがって…みたいな目にも、何やってんだアイツら…みたいな目にも見える。
まあ…前者に関しては、単に俺の思い込みの部分が多そうだけど。