君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
彼らをベンチまで連れて行き、私の両脇に座らせて見守ることにした。
…多分、変に気を使って話しかけるのはよろしくないんだろうな。
「お姉さん、高校生ですか?」
君から聞いてくるのかー!
てかさ!てかだよ!
「高校生って分かるんだ?」
「お母さんが中学生のお姉ちゃんに、そういうズボンはフレンチだから、高校生になるまで穿いちゃダメだって、怒ってたから…穿いてるってことは、高校生なのかなって」
「なるほど…」
いつもなら、小ささで中学生、何だったら小学生に間違われるのに…って思ってたら。そんな理由かいっ。
でも待てよ?
この兄弟のママ、なかなか厳しそうだな…怖っ。
ショーパンを高校生まで禁ずるとか、厳しさしか無いよ。私そんなんグレるよ。スカートも禁止されたら、私もう家出するわ。
てか、ん?フレンチ?フレンチ…?
あ、破廉恥か!!…失礼な。
おそらく彼はまだ、フレンチだなんて言い間違えてるくらいだから意味まで理解してないだろうけど…。
気付くと弟くんは私の足元に座り込んでいる。
本当に落ち着き無いですね…3歳児(仮)は…。
でも泣き止んだな。
「泣き止んで良かったね」
「はい。お姉さんが、側にいるから安心してるのかな」
「君は?」
「僕が何ですか」
「君だって、お母さんとはぐれちゃって不安だったでしょ」
お兄ちゃんは顔を伏せた。
「僕がしっかりしないと…」
絵に描いたような長男タイプか…。
そんな気負わなくて良いのに、って思うのは、私が年上だからか。
私は末っ子だから、1番っ子がどういう心情になるかは想像するしかないわけだけど。
「でも、僕だって怖い、不安。…お母さんに、怒られちゃうかもしれないから」
「お母さんそんなに怖いの?」
コクリと頷いた。
…まあ、だろうね。
ショーパンを破廉恥扱いだもんね。
それは私主観の怖い理由か。
この子達のママと顔を合わせた時、どういう目で見られるんだろうか。
この子と違って、中学生以下に間違われてとやかく言われる可能性は無きにしも非ずだし…。