君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


「大丈夫です」

「ええっ…」


思わず驚いて声が出る。

だ…だって…!そんな大人な顔して返されると思ってなかったもん!

あれか?男の子特有の高めのプライドで、人の助けなんざ借りないぜ!って感じか?それだな?

いやぁ…気持ちは分かるけどさ。翔もそんな時あったからさ。俺が飛鳥を守るんだー!みたいな。

ま、今は無いですけどね。


「どうして?」

「お母さんに、知らない人にはついてっちゃダメって言われてるんで」

「ああ…そういう年代か…」

「ん…?」


ジェネレーションギャップっつーやつですか。

いや、まあ私の年代でも親にそう言われてたとは思いますが…そんなレベルじゃなく、もっとしつこく言われてるんだろうな。

えー…だけどこの子らほっとくのやだよー。


「じゃあ、私とこの時計の下で一緒に待つってのはどう?
ここなら、お母さんも2人のこと見つけやすいんじゃないかな。
それに、弟くんも少しは安心してもらえるんじゃないかな…」


これならどうよ、少年!
高校生になると、こんくらいの臨機応変さは身に付くのだよ!


「てかさ、私が2人をどっか連れて行った所で、何のベネフィットも無いでしょ」

「べねっ…?」

「ベネフィット。…ああ、利益。
だから、君らをどっか連れて行ったとて、私に何も良いこと無いでしょってこと」


金澤くんといい、佐倉といい、難しい言葉使ってくるから、それ伝染ったじゃん!


「だったら…あの…お願いします。僕も、弟見失ったら大変なので」


何だよ、素直で可愛いじゃん。

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