君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
5時を回った頃、そろそろ出ようかとなって、寒空の下に出てくる。
「結局何試合したんだろー?」
「えっ、飛鳥ちゃん数えてなかったの?」
そう問うと、飛鳥ちゃんはテヘっとばかりに笑う。えー……。
「だけどまあ、貴哉くんのおかげか、あすたかチーム勝ちましたね」
「…だね」
「特に意外性も無いな、なんか」
佐倉くん…!
「で…この後どうすんの」
「確かに、特に考えてなかったね」
飛鳥ちゃんは何か考える物があるのか、携帯を取り出す。
「何か見つけた?」
携帯をしまう彼女に問いかけると、キョトンとされる。
「…いや、家族から連絡入ってないかなって、だけ」
「今日帰り遅いから夜ご飯自分達で用意してねー、とか?」
「そうそう、こないだみたいにゲームに夢中で通知気付かないとか、あるからね」
そんなこともありましたねー!
おおっ、俺らしか分からない話題じゃん!
「俺と金澤は、夜飯どっかで食う予定だったけど。お前らも来る?」
「私は予算無いっすね。…貴哉くん行ったら?男子会!」
え、俺ら3人で?飛鳥ちゃんいなかったら、何の関わりも無かったような先輩達なんですけど?…でもそうか、逆に。俺の知らない、1年分の飛鳥ちゃんを知ってるわけか。
「行きます!!」
「お、意外な反応」
金澤くん!何でそういうこと言うのっ!