君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
不満げな顔を見せた俺を宥めるかのように、佐倉くんが
「…貴哉なら、妹尾のこと送るとか言うのかと」
なんて言う。
「あぁ…確かに。飛鳥ちゃん、1人で帰れる?」
「何だろう、妹扱いされてる?
朝1人で来てるってことをお忘れなく」
「翔さんに送ってもらったとか」
「バイト行ってる!」
「ほら、来れても帰れるとは限らないだろ」
佐倉くんまで乗っかってきた。
金澤くんは面白そうにニコニコして眺めていた。
当の飛鳥ちゃんは、ムゥと頬を膨らませるけど。
あの…俺に見せるのはありがたいんです。
だけどねだけどね、この2人にまで見せちゃいけません!
「じゃあ、3人で行ってらっしゃい!」
言われたことは特に気にしていないらしい。
らしいっちゃらしいけどさ。
「じゃあ月曜日ねー!」
と、俺が言うと、飛鳥ちゃんは微笑む。
「そだね、日本史で!…佐倉も金澤くんも月曜一緒なのあるね」
「俺に至っては最初と最後に2度も」
「わぁ、佐倉くんめっちゃラッキーじゃーん」
「妹尾が自分で言うもんじゃねーだろ…」
「いやいや、そんなこと言ってるけど、佐倉は私といられてハッピーなの」
この中で1番ハッピーなの俺なんだけどなぁ…。
「じゃ、バイバイー!」
飛鳥ちゃんの後ろ姿を見送って、先輩2人とファミレスに行くことになった。