君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
携帯の時刻がふと目に入る。
次の授業まで20分か…。
よし、逃げよう。
「あ、凜そういえば」
「うん」
「次の授業さ、課題があって、友達に見せてーって言われてたの思い出したから、そろそろ行くね」
「えー?うちも行っていい?」
それじゃ意味無いやんか!
どんだけ1人でいたくないねんっ!
どうしよ、似非関西弁が止まんない。
「凜来ても、楽しくないと思うよ?」
「そっかー。じゃ、バイバイっ!」
「んー」
凜は軽く手を振ってきた。
簡単に交わせたな…。
えんっらいHP削られた気が…。
とりあえず日本史の教室に行こうと、エレベーターを待ちながら、壁に寄りかかっていた。
「飛鳥ちゃん…?大丈夫?」
声のする方に目を向けると、貴哉くんがいる。
あ…ちょっと目が鋭かったかもしれない。
ごめんなさい。一応心の中で謝っておく。
「貴哉くーん…」
「うんっ、何?」
ちょっと弱ってるぞ、私。
「なんか…貴哉くんに会ったら、急に安心したっていうか、何て言えばいうか、こう…
回復呪文唱えられた戦士の気分が、今なら分かるっていうかさ…」
「ど…どうした?」
「ごめん、自分でも何言ってんのか…」
貴哉くんは癒しの権化みたいな笑顔を見せてきた。
「なんかもう、貴哉くんは職業選択で僧侶1択だよ」
「何もうー?…あ、エレベーター来たよ」
なんて、2人きりのエレベーターに乗り込み、教室へ!