君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
「…って、言ってるけど。どうする?聞く?」
「ああ…じゃあ、聞くってことで」
それを聞いて、聖也と恒輝は、
「りょーかいっ」
と言って廊下に出た。
「それで…何ですか?飛鳥ちゃんのことだろうけど」
「そう。あ、本人には言わないように。…というか、中身聞けば言おうなんて思わないだろうけど」
「…飛鳥ちゃんのことを好きって言ってる輩がいると?」
佐倉くんは、もうツッコミが追いつかない、とばかりに顔を歪ませた。
周りから見たら、ただただ不機嫌なイケメンに見えるだけだと思うけど。
俺もちょっと分かるようになってきた。
「どちらかっつーと、逆」
「…逆?」
「さっきHRがあって。妹尾の女友達がいるんだけど…」
「…ああ、植草さんと仙葉さん?」
「何、話に出たことあんの」
「体育が一緒で」
「軽い愚痴とかは、聞いてない?」
そう言われて記憶を辿ってみるけれど、そもそも飛鳥ちゃんといる時に、女の子の話はあまりしないかもしれない。
俺は首を振る。
「…あっ、けど何となく、飛鳥ちゃんからあの2人に対する壁は感じるかもしれない」
「察し、的な?」
「まあ、そんな感じです」
「はあ…分かった」
そのことを、飛鳥ちゃんがいない間に言いに来たのかな。分かんないけど。