君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
翌日の放課後。
聖也と恒輝の2人と一緒に遊ぶことにしていたため、空き教室で待ち合わせしていた。
俺が一番乗りで、教室にいる。
ふと廊下に目をやると、佐倉くんと目が合う。
…えっ?
「あ、貴哉いた」
「えっ、あっ、はい」
「何その反応」
「ちょっとビックリしたもんで」
「…貴哉の耳に入れといても良いかな、と思ったことがあって」
佐倉くんは、少し真面目な面持ちで見つめてくる。
「あー貴哉いたー。…ん?」
聖也と恒輝が一緒にやって来た。
「…あ、貴哉の好きな子と一緒にいた先輩じゃん。何、シメられてんの?」
「シメてねぇよ、別に」
俺が否定する前に佐倉くんが言う。
「…明日でも良いけど。3人でどっか遊びに行くんだろ」
「え…まあ…」
体調悪い飛鳥ちゃんのことほっといて何してんだよ、とか思われてるんだろうか。
「んと…特に文句とか言うつもりはないんだけど。妹尾のこと心配してたって、早く治るわけじゃないし」
「エスパーか何かですか」
「顔に書いてある」
ああ…。
そんなに顔に出やすいなら、飛鳥ちゃんに好意くらいバレても良いのでは。
「廊下出てるんで、今喋ってもらって大丈夫ですよー」
聖也がそう提案してくる。