君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
月、火、水、と別々で過ごし、木曜になってさすがに俺が寂しくなってくる。楽しさを知ると、急にワガママになる。
昼前の授業が一緒なんだから、自然に誘えると思うんだけど。
地学室に行くと、飛鳥ちゃんが先に来ていた。机に突っ伏して完全に気抜いてる。
いつも通り隣の席に座ってみるけれど、飛鳥ちゃんは特に何も反応を示さない。
…ああ、眠ってるのかな?
疲れてるんだろう。授業始まる頃になっても起きなかったら起こそうっと。
なんて思っていると、飛鳥ちゃんが体を起こす。
「わっ、貴哉くん。おはよー」
「おはよー。…意外とビックリしなかった?」
「わっ、って言った」
「だとしたら、だいぶ冷静だって」
「へへっ…確かに」
いつもより大人しく笑ったように見えた。
あっ、そうだ。
今のうちに、昼休みの予約をすべきかも。
「ねえ、久しぶりにお昼、一緒に食べない?」
飛鳥ちゃんは何も言わずに俺を見つめてきた。全く読み取れない表情で。
「先に約束してる人がいるんだったら、そっち行って構わないんだけど、さ」
「別に、約束はしてないかな」
「じゃあ…」
「うん、貴哉くんといる」
「分かったっ」
あからさまに嬉しい態度をしてしまう。
…んー、もっと落ち着きを見せた方が良いね。