君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
そばにいる
翌週、月曜日。
ずっとモヤモヤしっぱなしだ。
貴哉くんの本心が、全く見えない。
いつの間にか貴哉くんが、私にとって特別になっていたのかな。
きっかけが、好かれてるかもしれないから、って理由だけだったとしても。
やっと気付いたのに、動けないでいる。
“友達”ポジションから動けないでいる。
「おいっ」
「あでっ」
机に突っ伏していた私は頭をチョップされる。
顔を上げると、前の席に座って真顔のまま見つめてくる佐倉が現れる。
「そろそろ起きろって。あと5分くらいで始まる」
「んー、始まんないでー」
「…俺に言われても」
ぼやきながら、体をちゃんと起こす。
「元気ねぇの」
「…まあ。悩み事、的な」
「珍しいな、そんなこと言うの」
「悩みが無さそうって?」
「そんなこと言ってない。
…あっても、外に見せないイメージ。俺にすら何も言わなそう」
無意識に、外に出さないようにしてたかもしれない。
…そもそも、そこまで悩むことも今まで無かったんだけど。
「…俺にすらって、自信があるんだね?」
「自信も何も、事実」
「すんごい自信っ…」
「少なくとも、貴哉に話してないことも、俺には話すから」
そう言われて体が強ばった。
凜と知愛とのことでしょ、おそらく。
「何で言わねーの?アイツなら、俺は味方だよ、とか言って守ってくれるだろ。ツラい時、いくらでも一緒にいてくれるだろ」
「それは…」
「妹尾が貴哉のこと頼ったら、喜んで手貸してくれると思うけど」
「そうかもしれないけど…」