君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
古典の授業が終わって、LINEを見た。
誰からも来てない。
佐倉は、珍しく携帯をいじったまま動かない。
「やけにのんびりしてるね」
そう言うと、座ったままの佐倉が、立ち上がっていた私を見上げてきた。
「金澤くんは?」
「…夜中遅くまでアニメ観たりゲームしたり、そのくせ朝は早く起きて勉強して、寝不足が祟って体調崩した」
「1人だから、特に急ぐ理由も無いと」
「…まあ」
佐倉にしては歯切れの悪い言い方をする。
と思ったら、今度は目をジッと見つめてくる。色々見透かされてるみたいで怖いんですが。
「えっ…何?」
「はあ…いや、何でもない」
目を逸らされて、溜め息までつかれる。
何故溜め息??
とりあえず2人の所行こ。
多分、一緒にいた方がいい。
「じゃっ、凜達の所行くわ」
「…ん」
今度の佐倉は、あまりこっちを見ずに軽く手を振るだけだった。
ああ、よく分からない人。
あの2人がいそうな教室は検討がついていて、そこに向かった。案の定いた。
「あ…飛鳥ちゃん」
「おはよ」
凜はこちらを向くだけ、知愛は軽く反応するだけ。
形式的な挨拶みたいだ。
彼女らが隣同士で座ってる席の後ろに座って、いつものように黙々とおにぎりを頬張る。
ただ一緒にいるだけで、2人だけで楽しく喋ってて、私は基本ぼんやりしてる。