君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
外は薄暗くなってきていた。
気付けば11月だもんなー。
結構経ってたな、11月になってから。
こんな暗い所歩いて大丈夫?なんて思ってしまうのは、俺は過保護なのかもしれない。
なんてことのない会話をしながら、駅までの道のりを歩く。
改札口に着いて、ついにお別れだ。
…そんな大層な話ではないのですが。
「じゃあっ」
「また明日!ありがとねー」
「うん、また明日。気を付けて帰ってね」
お互いに手を振り合い、飛鳥ちゃんの背中を見送った。
姿が見えなくなって、俺も帰路につく。
ああ…もし付き合ったなら、別れ際にギューとか、何ならチューとかできるんだろうか。
飛鳥ちゃん恥ずかしがって、させてくれないかな。ドラマの観過ぎ?
…なーんて。
飛鳥ちゃんに男として見られてるなんて確証もないくせに。
さすがに言えなかったな。
好きだからここまでするんだよ。…って。
弱ってる所に告白するのは、ちょっとズルい気がした。
…いや、まあそうなんだけど。
そんな言い訳つけて、単に勇気がなかっただけだよな。
てかさ、俺よくあんなしっかり抱き締めちゃったよね。
…ね!え、俺何やってんの!
今になって考えたらヤバ過ぎない?