君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


外は薄暗くなってきていた。

気付けば11月だもんなー。
結構経ってたな、11月になってから。

こんな暗い所歩いて大丈夫?なんて思ってしまうのは、俺は過保護なのかもしれない。

なんてことのない会話をしながら、駅までの道のりを歩く。

改札口に着いて、ついにお別れだ。
…そんな大層な話ではないのですが。


「じゃあっ」

「また明日!ありがとねー」

「うん、また明日。気を付けて帰ってね」


お互いに手を振り合い、飛鳥ちゃんの背中を見送った。
姿が見えなくなって、俺も帰路につく。

ああ…もし付き合ったなら、別れ際にギューとか、何ならチューとかできるんだろうか。

飛鳥ちゃん恥ずかしがって、させてくれないかな。ドラマの観過ぎ?

…なーんて。
飛鳥ちゃんに男として見られてるなんて確証もないくせに。

さすがに言えなかったな。
好きだからここまでするんだよ。…って。


弱ってる所に告白するのは、ちょっとズルい気がした。
…いや、まあそうなんだけど。

そんな言い訳つけて、単に勇気がなかっただけだよな。


てかさ、俺よくあんなしっかり抱き締めちゃったよね。

…ね!え、俺何やってんの!

今になって考えたらヤバ過ぎない?



< 236 / 273 >

この作品をシェア

pagetop