君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
俺が昼食を食べ終わって、2人で着替えに行く。
…さすがに、更衣室は別だけど。
俺が小体育館に着いて5分くらいしてから、彼女はこちらに来た。
「何で制服で来ちゃったんだろう。
体育用の服でそのまま来れば良かった」
「あー、言われてみれば確かにそうだね。…ドンマイっ」
「もーう」
今の俺、かなり可愛かったかもしれない。
ドンマイっ、つって顔の前で拳を並べてみる。…言うなればぶりっ子ポーズってやつ?
ふと出入口に目を向けると、植草さんと仙葉さんが来ていた。
飛鳥ちゃんは俺の方を向いていて、気付いてないみたいだけど。
明らかに彼女達は飛鳥ちゃんに気付いている。その上で特に植草さんが、不機嫌そうな表情をしている…ように見える。
それからこちらに来ることはなく、別のスペースに行った。
授業が始まって、自ずと互いに顔を合わせざるを得なくなる。
だけど、俺が見てる限り、3人が目を合わせることはなかった。
終始うっすらと、空気が悪かった。
授業終わり、ふと目に入った飛鳥ちゃんの表情が沈んでいるように見えた。
「…飛鳥ちゃん」
「ん?」
荷物の方へ歩きながら、何となく返事をしてきた。
「大丈夫?」
「別に、大丈夫」