君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
お互いの緊張が空気で分かる。
照れてはいるけれど、単にこういうことを言われ慣れてなくて反応してるだけかもしれない。
飛鳥ちゃんは、人として好きってだけでも、平気で“好き”とか直接言っちゃう子だ。
俺だけ特別になれるとは限らない。
「ごめんね」
「えっ…」
俯いたまま言われる。
あぁ…そっかぁ…。
「あの時、正直になれなかった」
「…ん?あの時とは」
「ベンチで、お互いのタイプ聞いてた時」
「ああ、あれか。うん」
話の行方が読めない。
「貴哉くんの言う女の子のタイプが、もしかしたら自分かもしれない、いやでも私の勘違いかもしれない、自惚れだ、って…モヤモヤした」
「モヤモヤ…?」
「結局後者で解釈して、勝手に思っちゃった。
貴哉くんの彼女、私だったら良いのにって」
え…
俺のことはお構いなしに、彼女は落ち着いた調子で話し続ける。
「だから、ちょっと突き放すみたいに、もしそんな子いるなら付き合えるよ、とか言っちゃったわけで」
「うん…」
「こんな気持ち初めてで、よく分かんない。
だけどね、貴哉くんに対するこの気持ちが恋じゃないって言うなら、恋とかいう概念なんて存在しないと思う。
…っだからね!」
伏せてた目をこちらに向けてくれる。
あまりにもまっすぐな視線で、逸らせなくなる。
「私も、貴哉くんのこと…好き」
優しく微笑んで伝えてくれる。
「これからは彼女として、よろしくね」