君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
「返事、後でいいから」
「え…?」
「着替える時間無くなっちゃうよ?このまま次の授業出るの?…いや、まあタイミング考えないで告白しちゃった俺も俺だけどさ」
そうだよね、そこは紳士じゃなかった。
それは反省ポイントだ。
…活かすあてがどこにあるのか分からないけど。
「じゃ、更衣室行く!」
飛鳥ちゃんは半ば逃げるように、俺の手を離して行ってしまった。
急いで着替えて教室に行くと、開始1分前レベルのギリギリだった。
飛鳥ちゃんもバタバタした様子でやって来て、リボンは教科書等を出してから着けていた。
いやぁ…本当にタイミング間違えたな、ごめんなさい。
少しぼんやりした調子でいたら、気付けば授業は終わっていた。飛鳥ちゃんの方を見ると、彼女は彼女で、ぼんやりしてのんびりと荷物を詰めていた。
そんな彼女の元へ向かった。
で、横に立ってるのに、気付いてもらえない。
しょうがないから、あからさまに咳払いをしてみた。
「あっ、貴哉くんっ」
「ちゃんと、授業集中してた?」
「んー、あんまり」
「俺も」
…待って。何勝手に彼氏面してるんだ俺は。
まだ返事は貰ってないのに。
もう誰もいない教室で、俺は飛鳥ちゃんの前の席に座る。
「返事。いい?」