君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
「んっ!」
「おっ…」
少し自棄になったらしい飛鳥ちゃんが、唐揚げを差し出してきた。
全然目は合わせてくれないけど。
可愛い。
「うん、美味しっ」
「そっか、良かった。冷凍なんだけどね」
「飛鳥ちゃんは、何でそう正直なの」
…そういえば、1番気になってたこと。
「ちゃんと、授業は出たの?」
「数II?」
「うん、そう」
「出たよ、普通に」
あれ…意外とあっさり?
「今朝は私の方が2人より遅くて。教室入った時にちょっと目が合って、微妙な空気は流れたけど」
微妙な空気…。
「こないだふと思ったんだよね。
よく考えたら、あの子達と無理して絡まなくて良くなったわけだし、結果オーライじゃない?
って」
「なるほど…。飛鳥ちゃんらしいっちゃらしいけど」
「貴哉くんもいるし、佐倉や金澤くんとも何か変わるってわけじゃないし!」
「すっかり吹っ切れちゃったね」
「ねー。まず、元々そんなに、女子ぃーって感じじゃなかったわ、私」
俺から見たら、充分女の子だけどな…。
体育の時も、俺から見てても、ちょっと前みたいな不自然な笑顔なんか見せずに、いつも通り。
良かった良かった。