君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


英文法が終わり、今日はもう帰れる。


「やっぱ、2年目ともなると難しくなるねー」

「んー、まあそうだね」


金澤くんはそこまで難しいとは思ってなさそうだけど、一応同意はしてくれるんですね。


「さあっ、佐倉くん!帰るよ!」

「ああ」


特に急ぐ気もなく、のんびり支度をする佐倉だった。
でも私も帰り支度が遅い方だから、気を遣わなくて良くて逆にありがたい。


「金澤くんは?まだ授業あるの?」

「無いけど、自習室で少し勉強してから帰る」

「……あ、うん」


次元が違う返答過ぎて、一瞬時が止まった。

家だと誘惑が多くて勉強ができない、とか前に言ってたけど…私は逆に、外だと音とか人の気配とか気になって勉強できないからな…。


「てか、今年もガタガタな授業の入れ方してるの?」

「うん、そうだね。月曜と木曜は妹尾ちゃんと同じ時間帯だけど、それ以外は昼から夜7時まで」


金澤くん…極端なんだよなぁ。
けど去年よりはマシだ。金曜を丸々休みにして、他の曜日に1日4つの授業を入れるっていう強行スケジュールだったんだから。多少ガタガタしてても、1日3つなら、まだね…。


そんなこんなで金澤くんとはバイバイして、佐倉と2人で帰る。

この学校の最寄り駅はいくつかあって、私と佐倉は同じ駅だし、乗換の駅も同じため、数駅一緒で。

金澤くんも一緒に帰れば良いんだけど、あんな調子だから、1年の間に片手で数える程度しか一緒に帰ったことはない。
…まあ一緒に帰ったところで、最寄り駅が違うから曲がり角ですぐバイバイなんだけど。


「ホントよく頑張るよね」

「何を頑張るか、何にウェイトを置くかは人それぞれだろ。俺もお前も、勉強にウェイト置いてないだけ」

「ちょ…私もか」

「実際そうだろ」


反論できないです…。

テスト前にバーッとやって、平均超えるようにするくらいだな。
金澤くんに勝ちたい!って、突然頑張ることもあるけども…大体、のんびりやってるなー。


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