君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


翌日。ああ…朝一発目から、凜と知愛が一緒だ。
朝イチの数学ってだけでもなかなかかったるいのに…。

いつものように早めに教室に着いた私は、机に伏せて完璧に脱力していた。

眠いってのもある。


「ねえ聞いて聞いて!昨日のテレビで茅場愛ちゃん出ててさ!もうっ…めっちゃ可愛かったんだけど!」

「それな、可愛すぎ。細いのに意外と…スタイル抜群っていうか」

「それそれ!」


あー、もうすぐ授業始まるのかな。彼女らの声がした。
相変わらず、毎日飽きずに同じような会話をしている。

茅場愛ってのは、最近売れてるモデルらしい。所謂バラエティ班らしくて、メディア露出も増えたとか何とか。

昼休みもよく彼女の話題が出るため何かと詳しくなってしまったが、そこまで興味は無い。

その上、綺麗とか可愛いタイプの女子は、見事に同じ顔にしか見えない。

ゆっくり息を吸って、スっと息を吐き、身体を起こす。


「「おはよー」」


2人はほぼ同時に言ってきた。


「おはよ」

「今日は余裕もって来れたっしょ!飛鳥ちゃん褒めてよー」

「偉いね、凜。この調子で、頑張れ!」

「えー?それは分からん」


知愛は黙ってニコニコしていた。


数IIの間は、もう睡魔との闘いだった。
ホントに、朝イチの数学ってのは眠くさせる天才だ。数学自体が苦手じゃないことが、せめてもの救いだ。


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