君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
ー飛鳥sideーー
そんな、“彼氏じゃないんだね!”だなんて、嬉しそうに言われたら、私だって勘違いする。
ましてや、あっちから声をかけてきたんだ。
連絡先を聞いてきた。
朝1番に会いたいって言ってきた。
一緒にいたいって言ってきた。
こんなカッコイイ男の子に、想われてるのかもしれない。思わずそんなことすら思ってしまう。
バカだな私。
何も返せずにいると、先生が来る気配がして、仕方無く席に戻る。
仕方無く?いや、都合が良かったかもしれない。返す言葉に詰まっていたから。
…でももし、本当に彼に想われてたなら?
分からないや、女子として想われることなんて無かったから。…まあ、そうか。今もそうとは限らないけど。
ああ…授業が何も入ってこない。
日本史の授業が終わって、リュックに全部しまう。
さて、貴哉くんは?
ふと目を向けると、彼もリュックに色々しまっていたため、目が合うことはなかった。少しだけホッとした。
特に言いたいことがあるわけではないけど…さっきの、ちょっと感じ悪かったよね。
そう思う自分はいる。
軽く思案した結果、声をかけないという結論が出た。