君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
ー貴哉sideーー
俺ってば、何でこんなに感情のコントロールができてないんだろう。
“佐倉は”彼氏じゃないって言った。
だけど。
彼氏はいない、という否定の仕方はしなかった。
「去年から仲良いんだけど、今まで何回か言われてるんだよね。付き合ってるの?って。
ただ、そう思われるくらい距離近いのは、互いに意識してないからだと思う」
「ああ…」
自分に都合の悪い考えが頭を巡る。
ただ、少なくとも、ああいう大人っぽいのがタイプとは限らない、というのが分かったのは、発見なんじゃないだろうか。
「なんだ、彼氏じゃないんだね!ほっとした!」
ホントはまだモヤモヤしてる。
それでも飛鳥ちゃんに、元気無さそうとか、余計な心配はされたくないから。平気なフリをして。
だけど、彼女は何とも複雑な表情を浮かべている。