君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


ー貴哉sideーー


俺ってば、何でこんなに感情のコントロールができてないんだろう。

“佐倉は”彼氏じゃないって言った。

だけど。

彼氏はいない、という否定の仕方はしなかった。


「去年から仲良いんだけど、今まで何回か言われてるんだよね。付き合ってるの?って。
ただ、そう思われるくらい距離近いのは、互いに意識してないからだと思う」

「ああ…」


自分に都合の悪い考えが頭を巡る。

ただ、少なくとも、ああいう大人っぽいのがタイプとは限らない、というのが分かったのは、発見なんじゃないだろうか。


「なんだ、彼氏じゃないんだね!ほっとした!」


ホントはまだモヤモヤしてる。
それでも飛鳥ちゃんに、元気無さそうとか、余計な心配はされたくないから。平気なフリをして。

だけど、彼女は何とも複雑な表情を浮かべている。


< 37 / 273 >

この作品をシェア

pagetop