君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
それで…よりによってアレですか。
木曜は朝から飛鳥ちゃんと一緒ですか。
だけど逆にチャンスだ。
ワンチャンあるでしょ、彼氏じゃないかもしれない。ポジティブすぎるかな?それでもいい。そうとでも思わないと、やってらんない。
俺が奪ってやる、だ。
諦めないって決めたんだから。
昨日の、一瞬弱気になったことを撤回する。
「あ、おはよう貴哉くん。最近私より早いよね。私が気抜けてきたかな」
「んー、たまたまじゃない?」
いつも通りだな…まあそうか、前日に彼氏と何したって翌日まで影響しないんだろうな。
俺だったら?ちょっと抱き締めたくらいでも、翌日…いや、下手したら翌週までポヤーンとする自信すらある。飛鳥ちゃんの温もりに、心を奪われる…。
あああっ…本人の横で妄想しちゃダメでしょ!
「昨日さー、学校の後カラオケ行ってきてさ」
「へっ?!」
まさか自分からその話題を出してくるとは!
心の準備できてないんですけど?
「ん?どうかした?」
「いや…どうもしない。続けて?」
「ああうん。9時20分にカラオケ後にして、9時40分くらいには帰宅したわけよ。そしたら、両親にちょっと咎められちゃって。
だからって門限が縮まるとか、カラオケ禁止とかにはならなかったけどさー。
親に色々小言言われるのって、うげっ…て感じじゃん?」
一緒にいたのは大学生の彼氏だもんね。
親御さんだって心配するに決まってる。何かあるかもしれないって。
現に、俺ですら心配なのに。
「そりゃ、飛鳥ちゃんのこと心配するに決まってるじゃん」
「実の兄といたのにさ」
「ん?兄?」