君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


「大学生のお兄ちゃんがいて。昨日たまたま時間あったらしくて高校の方来てたから、バイク後ろ乗せてもらったんだよね」


シチュエーションも被る。


「俺昨日、近くのコンビニの駐車場で飛鳥ちゃん見かけたんだよね。
佐倉くんが彼氏じゃないってのはこないだ分かったから、今度こそ年上の彼氏がいるんだと思った…」

「私のことよく見かけるね?佐倉といい、翔といい」

「翔って、お兄ちゃん?」

「うん」


ポジティブが功を制した…!


「じゃあ彼氏誰…?」

「へ?」


つい調子に乗って聞いてしまったー!飛鳥ちゃんのキョトンが胸にグサッとくる。


「えー?彼氏いる前提?いないよー」

「いないのっ?!」

「そんな驚くことでもないと思うけど…。ビックリするほど、彼氏いそうですかね?」

「大学生の彼氏がいても全然おかしくないなって…普通に思った」

「…翔が彼氏に見えたっていうの、何か翔の変なテンションで、彼氏の演技をしてたってのもあると思う」

「めっちゃ面白いお兄ちゃんだね!しかも仲良くて羨ましい」

「…貴哉くん一人っ子?」

「んーん、9歳上の兄がいる」

「あー、まあそれだけ歳離れてたら…」

「名前も顔も割と似てるんだけど、中身は全然似てないんだよねー」


なんて兄弟の話をしながら。


ああ、1つ確実に分かった。


飛鳥ちゃんには彼氏がいない。

だから。


俺にだって、まだチャンスはある!


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