君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


「夏祭りも夜遅くない?」

「えー?夜の6時前からやってるじゃん」

「でも花火とか見てたら、終わるの8時くらいだよ?」

「…貴哉くんの家、門限早いの?」


ああ…帰り遅いのはまずいってこだわってたら、俺の門限が早いのか心配されてるな。


「お父さんは仕事の関係で月1は海外行くし、そうでなくても国内飛び回ってるから、そんなに家にいなくて。
お母さんも化粧品メーカーで働いてて、帰りが遅いことも珍しくないから、時間の管理は俺に任されてる」

「ざっくり言えば、門限無いってこと?」

「んー、あんまり遅いと怒られると思う。
せいぜい10時くらいかな…」

「わー、めっちゃ健全!貴哉くんの好感度めっちゃ上がった!」

「…ありがとう?」


父さん、母さん…門限が無いのに自分で色々管理してたら、好きな女の子からの好感度が上がりました。


「飛鳥ちゃんは何時なの?前、お兄ちゃんとカラオケ行って遅くまで外いたみたいだけど」

「あー、それは翔がいたからだよー!
翔とか親とかいないで友達と遊びに行くんだったら、ちゃんと門限らしいものはある。
だから…8時9時、かな」

「そうだったんだ…」


思ってたより健全で良かった。


「俺の門限がどうってことじゃなくて、飛鳥ちゃんが帰り遅いの心配だから、帰る時間こだわってただけなんだよね」

「えー!そんなん気にしなくて良いのに!」


飛鳥ちゃんはやたら驚いたような反応をする。


「気にするよ。飛鳥ちゃんに何かあったら嫌だもん」

「あはは、そう?心配してくれるんだ?めっちゃ女子扱いしてくれる」


するに決まってるじゃん、好きなんだから。
飛鳥ちゃんには傷付いてほしくない。


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