君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
「じゃ、1つ聞く!前から気になってたこと」
「ん?何?」
「前にさ、母さんがメンズの香水の試供品くれたじゃん?」
「ああ、あげたかも」
「それつけたいなーって思ったんだけど…ああいうのって、女の子からしたらどうなのかなーって」
そう言うと、母さんは
「心配性か!」
と笑ってつっこんできた。
「香りの好みは人それぞれだから、飛鳥ちゃんに気に入られるかどうかはもう、つけてかなきゃ分からないでしょ!」
「ああ、そうか…」
「たまたま好みじゃない可能性は無きにしも非ずだけどさ。まあ、メンズのだからつけててもおかしくないから大丈夫でしょ」
「そうだよね!じゃあ、勇気を出してつけて行くことにする!」
そう元気に返したら、今度は意地悪な表情を見せてきた。
「え…今度は何…?」
「チャラ男だと思われたりしてー?って、頭よぎったもんで」
「…んん、よぎっただけにしといてほしかった」
「でもまあ、貴哉なら大丈夫でしょ!休みの日に2人きりで出かけようってくらいなんだから、飛鳥ちゃんに信用されてると思うし」
「だといいんだけど?」
その信用は人としてだろう。
男としての信用だったら、もっと嬉しいけれど。