君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


「…ああじゃあ1つ、美容関係者として言っておこうかな」

「何?」

「香水つけるなら、左胸につけてみて。心臓の脈動で香りが広がりやすいの。
もし香りが強いんだったら足首につけるのも良いんだけど、私があげたやつそんなに強い香りじゃなかったはずだから、左胸で大丈夫」

「そうなんだ、ありがとう!」


その後俺は、母さんの言う通り、いつもの要領で服選びからヘアセットまでやってみた。んんー、いつもの俺だな。

でもそっか、休みの日に会うからって気合い入れすぎても、“あなたに恋してますよー、気付いてますかー?”って感じになってカッコ悪いか。

唯一いつもと違うのは、香水をつけてることだけ。
飛鳥ちゃんからすれば、私服ってだけで違うって感じてくれるのかもしれないけど。

その“いつもと違う”が、俺の気持ちをシャンとさせる。

さあ、待ち合わせ場所に向かおう!


待ち合わせは、お互いの乗換地点の駅。
暑いから室内の方が良いよねってなって、駅の中にあるカフェで待つことになっている。

同じ考えの人は結構いるもので、カフェの中は8時半くらいにしては混んでいた。

電車が来る時刻を配慮した結果、集合は8時40分なんだけど、俺は張り切りすぎたらしい。


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