君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。


「本当に思ってるからねー!信じてもらえないんだったら、いくらでも言うよ!」

「心臓もたないし信じてやろう、しょうがないから」


理由はともあれ、信じてくれたなら良いかっ。


「じゃ、バイバイっ!」

「バイバイー!…こちらこそ、楽しかった!あと、送ってくれてありがと!」


バイバイの後にそんなこと言うのは反則だよ、飛鳥ちゃん。


「飛鳥ちゃんこそ、俺のことどうしたいの?」

「え?」


彼女に関して言っても、思ったこと言っただけなんですよね。


「あー、全然バイバイできない!今度こそバイバイ!」

「気を付けて帰ってね、貴哉くん」


彼女に頷き返す。
何回もこちらに振り向いて手を振ってくれる飛鳥ちゃんが、マンション内のロビーの奥に姿を消したのを確認してから、来た道を引き返す。

飛鳥ちゃんのことは安全に家まで送り届けました!

さて…。名残惜しいよぉー!

何もう、気を付けて帰ってねって!気を付けて帰るよ!

その上、何回も手振ってくれるとか、もう天使ですか女神様ですか!


「好きだなぁ…飛鳥ちゃん」


思わずそう呟いていると、近くに人がいることに後から気付く。

バイクか車の鍵を指先でクルクルさせる男性。何なら俺のこと、目をパチクリさせながらじっと見てくる。

んんっ…恥ずかしいよ?
好きだなぁ、とか言っちゃったじゃん。

多分飛鳥ちゃんと同じマンションの人だろうし。とりあえず会釈しとこ。



< 91 / 273 >

この作品をシェア

pagetop