君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。
「本当に思ってるからねー!信じてもらえないんだったら、いくらでも言うよ!」
「心臓もたないし信じてやろう、しょうがないから」
理由はともあれ、信じてくれたなら良いかっ。
「じゃ、バイバイっ!」
「バイバイー!…こちらこそ、楽しかった!あと、送ってくれてありがと!」
バイバイの後にそんなこと言うのは反則だよ、飛鳥ちゃん。
「飛鳥ちゃんこそ、俺のことどうしたいの?」
「え?」
彼女に関して言っても、思ったこと言っただけなんですよね。
「あー、全然バイバイできない!今度こそバイバイ!」
「気を付けて帰ってね、貴哉くん」
彼女に頷き返す。
何回もこちらに振り向いて手を振ってくれる飛鳥ちゃんが、マンション内のロビーの奥に姿を消したのを確認してから、来た道を引き返す。
飛鳥ちゃんのことは安全に家まで送り届けました!
さて…。名残惜しいよぉー!
何もう、気を付けて帰ってねって!気を付けて帰るよ!
その上、何回も手振ってくれるとか、もう天使ですか女神様ですか!
「好きだなぁ…飛鳥ちゃん」
思わずそう呟いていると、近くに人がいることに後から気付く。
バイクか車の鍵を指先でクルクルさせる男性。何なら俺のこと、目をパチクリさせながらじっと見てくる。
んんっ…恥ずかしいよ?
好きだなぁ、とか言っちゃったじゃん。
多分飛鳥ちゃんと同じマンションの人だろうし。とりあえず会釈しとこ。