My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
でも王子はふるふると首を振った。
「父さまはあのまま眠っている。礼をと思って来たのだが……」
それを聞いてほっとする。
「お前たちにも感謝している。父さまを助けてくれて本当にありがとう」
堂々とした笑顔で言われ驚く。
その態度からは小さくとも王子様としての風格がしっかりと感じられた。
「い、いえ、私は何も」
「そうだ! お前も一緒に来てくれ」
「え?」
急に男の子の顔に戻った王子が私の元に駆け寄ってきた。
「先ほどの花をな、もっとたくさん摘んで来ようと思うんだ。父さまが起きた時にびっくりするくらい!」
王様の枕元に飾られた黄色の花を思い出し、笑顔で答える。
「それはきっと王様喜びますね」
「だろ? それに、花を持っていくと母さまも喜ぶんだ」
嬉しそうに続けた王子を見て、先ほどの王妃様の様子が蘇る。
きっと彼はお母さんにも元気になって欲しいのだろう。
胸の辺りがぽっと温かくなる。
「わかりました。お手伝いします!」
「よし! じゃあ行くぞ」
王子について扉まで行く途中、冷たくなった料理が目に入った。
「あ、あの、その前にデイヴィス先生のところに行くんですよね?」
「え? あぁ、そうだな」
「じゃあ――」