My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

「……楽譜が書いてあるのってこのページだけですか?」

 やはりこの短い楽譜だけでは心もとない。
 もっと基本的な、笛の吹き方や音階などが書かれたページがあったらと思い訊く。

「いくつかあるぞ。最初の方にも短いものが……」

 そう言いながら王子はページをめくっていく。

「これだ」
「!」

 そこには四線譜上を順に上がっていく8つの黒丸、音階が描かれていた。

「ありがとうございます! この一番下の黒丸がその笛で出る一番低い音。そして一番上の黒丸が一番高い音なんだと思います」
「そうか、だんだんわかってきたぞ」

 楽譜を見つめながら頷く王子。

「試しに一番低い音を出してもらっても……あ、でも今変身しちゃったらまずいですよね」
「大丈夫だ。今はもうドナが吹かなければ僕の身体に変化はない。それまでは自分で吹いても変身出来たんだけどな」

 小さく驚く。
 そういえばさっきセリーンが吹いても王子には何の変化もなかった。

(愛する人が出来るとそんなところも変わるんだ……)
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