My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「大丈夫なんですか?」
「ん。ちょっと身体が慣れてきたみたいだ」
慣れた、とは呪いにということだろうか。
それでも辛そうなのは変わりなくて見ていてハラハラする。
すぐそばにいるラグは手を貸そうともせずにただその様子を見ているだけだ。
なんとか背もたれに体重を預け座る格好になったアルさんはふぅと一息ついた。
「無理はするな」
王子も心配そうだ。
軽く笑みを浮かばせ大丈夫ですと言ったアルさんに、王子は訝しげに眉を寄せつつも訊く。
「……それで、何がおかしいんだ?」
「はい。今の話だと、少なくとも500年の間はずっと、この王家は続いてきたわけですよね」
頷く王子。
「そんなに長い間、王家の血は途絶えなかったんですよ」
「何が言いたい」
イラついたようなラグの声。
「や、今の王様の状態見てるとさ、こんなに長く続いているのがおかしく思えてな」
アルさんはゆっくりと続ける。
「殿下には申し訳ないですけど、これまでに今回のようなことが一度も無かったってのは逆におかしい気がするんですよ」