My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4

25.一緒に


「あ、お城!」

 前方に小さくソレムニス宮殿が見えてきて、私は歓声を上げた。
 ルルデュールが私を連れてどのくらいの距離を飛んだのかあの風の中では全くわからなかったけれど、そこまで遠く離れてはいなかったのだとわかりほっとする。

「そういえば、なんでラグ飛んできたのに小さくならなかったの?」

 その横顔を見上げ訊くと、ラグは前を見据えたまま答えてくれた。

「オレの術じゃない。アルの術だ」
「アルさんの……あれ? でもあの時アルさんあの場に」
「窓が割れる音を聞きつけて戻ってきたんだ。お前があのガキと飛んだ直後にな」
「そうだったんだ」

 やっと納得して、でもそこでハタと思い出す。

「そうだ、クラヴィスさんは? クラヴィスさんは見つかったの?」

 あのときアルさんと王子はクラヴィスさんを捜しに行っていたのだ。

「……戻ってきたとき姿がなかったからな。まだなんだろ」
「そっか……。クラヴィスさんどこに行っちゃったんだろうね」

 しかしそこで気が付いてしまった。

「そうだ、ルルデュールが居たってことは、もしかしたら他の暗殺者もお城に……クラヴィスさんもしかして」

 ラグにだけ執着していたルルデュール。でも、やはり一人で来たとは限らない。
 思わず最悪の事態を想像してしまい青くなっていると、ラグが心底呆れたような目でこちらを見ていた。

「な、なに」

 なんとなくまだ目を合わせられなくて、視線を泳がせながら訊くとラグは小さく息を吐いてまた前へと向き直った。
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