My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4
「メガネは王子の元だ。朝から謁見者がひっきりなしに訪れていてな。念のための護衛だ」
「謁見者……?」
「王の回復と、次期国王の決定を祝う者たちだ」
「次期……それって」
「あぁ。朝一で王が皆に伝えたんだ。次期国王はツェリウスに任せると」
「! ……そっかぁ。王子、良かったね」
思わず笑みが浮かぶ。
ドナと、そしてお母さんとの約束にまた一歩近づいたのだ。
「でも、王様になるのは当分先の話だよね」
「いや、それがそうでもないみたいだ」
「え?」
「現国王が王になったのが18のときだそうでな。同じ歳に王位を譲ると伝えたらしい」
「え、えっと……今王子何歳だっけ?」
そういえば聞いたことがなかった。
少し年下くらいかなと思ってはいたけれど。
「今15だそうだ」
「ってことは、3年後!?」
思わず声が大きくなってしまった。
「あぁ。本人も驚いていたようだ」
その顔が目に浮かんだ。
でもきっとその後は唇を引き締めしっかりと頷いたに違いない。
「3年などあっという間だ。これから忙しくなるだろうな」
「うん。でも王子ならきっと平気だよね。デュックス王子もいるし」
「そうだな」
「でもドナ、早くてびっくりするだろうな」