ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Hiei's eye カルテ11:願いをこめたメール
【Hiei's eye カルテ11:願いをこめたメール】
「こういう繋がりがあるなんて、神様っているんだなって思っちゃうわね。」
診療情報提供書の患者名
それと
その書類の宛先
福本さんはそれらを指差しながら目を潤ませた。
『神様とか・・・飛躍し過ぎじゃないですか?』
「じゃあ、天国から見守るあの人がこういう運命になるように導いた・・とか?」
『そうかもしれませんね。』
実は俺もこの書類を作成している時にふと思ったことだ。
天国にいる ”あの人” の仕業かもしれないのだ・・と。
もし、天国にいる ”あの人” がそういう運命を導いているのならば、尚更・・・
逃げてはいけない
向き合わなくてはいけない
この書類を作成し、転院先の主治医に届けることが
俺が医師として伶菜にしてやれる、これこそ本当に最後の仕事だから・・・
「それにナオフミくんも変わったわね。」
『俺がですか?』
「この情報提供書を1つ見るだけでも、わかるわ。前のナオフミくんなら、情報を的確かつ合理的に伝えていたけれど、コレは情報だけじゃなくて、アナタの気持ちも伝わってくるもの。」
自覚がないわけじゃない
今まで殆ど記入したことのない欄
・・・・【特記事項】欄
【特記事項】
症例は婚外子妊娠です。父親は不在であり、出産だけでなく育児への不安も大きい状態にあると思われます。出産後、安心して生活できるよう、社会資源の利用等への助言ならびに心理的サポートのほうも宜しくお願い致します。
これぐらいしか思い浮かばなかった
伶菜の主治医としての最後の仕事
転院先に渡すバトンに
主治医として自分がやりたかったことをこめて、それを相手に渡す