ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Reina's eye ケース16:つなぐツナガル
【Reina's eye ケース16:つなぐツナガル】
携帯電話の表示が圏外と受信可能状態が混在しているこの病室でけたたましく揺れた携帯電話。
その画面にはさっき、地面に書いた番号と同じ番号の表示。
私は急いで通話ボタンを押して自分の左耳に電話を当てた。
「もしもし、高梨さん?」
さっき新しくアドレス帳に登録したばかりの電話番号の持ち主とその声は一致している。
低くて
優しくて
あったかい
・・・・その声
それを認識した私は頭の中が再び真っ白になってしまった。
「もしもし?高梨さん?・・・伶菜・・・・?」
伶菜と呼ばれた瞬間。
名古屋の病院の廊下で背中から抱きかかえられたコトを思い出し
私の頬が、全身が一気に熱を帯びる。
『・・・は、い。』
私は返事をするのが精一杯。
アナタとはもうこうやって話すことはできないと思っていた
もし、アナタが言う通り、兄妹という関係であっても
担当じゃなくなった医師と転院してしまった患者という関係が邪魔をして
会うことも、話すこともできなかった
でも
誰から届いたかわからない黄色のリボンがかかったプレゼントを手にとった私は
この声を
アナタの声を
どうしても聞きたくなったんです・・・・
「・・・元気、だったか・・・?」
『・・・・ハイ。』
「・・・・無事、産まれたって?」
『・・・ハ、、イ。』
「よかった・・・ホントよかった・・」
彼の短い問いかけに、私の短い答え。
私の声は震えていた。
でも名古屋の日詠先生の声も震えていた。