ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



・・???

聞き覚えのある声?

・・・聞き覚えのあるコトバ

・・・・?!



『・・ゆ、夢?!』

俯いていた私は勢い良く顔を上げる。


その視線の先には、以前、見たことがあるどころか、毎日自分のこの手で触れていた黄色いチェック模様のあのマグカップを手にしたあの人が立っていた。


背が高く、肩幅の広いあの人が・・・・

緑色の手術着なんかじゃなく、半袖のワイシャツにネクタイ姿で
立っていた。




「あれから、電話できなくてゴメンな・・・・」


私の視界は涙で霞んでしまい
あの人の姿も霞んでしまい



『・・・うぅう~』

そして私は、空色のジグソーパズルを右手に握り締めたまま泣き崩れた。


「大丈夫・・・大丈夫だ。」


誰でも言えるその言葉

余計な事は一切ないその言葉なのに
この人
日詠 尚史という人が私にかけてくれたその言葉は

本当に、本当に
本当に心強かった・・・・・・



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