ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋




「だったら話は早いです。伶菜をオトすには ”押して引け” ではなく、”押して押して押し捲れ” ですから。」

『押して、押して、押し捲れ・・・か。』


杉浦さんの言っていることが間違っているとは思えなかった
伶菜は自分よりも他人に気を遣う傾向が強いから

じゃあ、もう迷うことはない



『杉浦さん。』

「ひ、日詠センセ?!」


今度は俺が椅子の背もたれから前のめり気味になって彼女の名を呼ぶ。
多分、彼女の勢いに押され、ずっと後ずさり気味だった俺がそういう反応をしたことに驚いたのだろう。

もちろん自分だって驚いている。



『付き合って下さい。』

「はい~?! 付き合って下さいって・・・えっ、あたし~?!」


仕事以外で、自分から何かをしようという気になることなんて滅多にないから、自分でも驚いているけれど、それでも引き下がれない。


『・・・ええ、まあ、そういうことです。』

「うそぉ~?!」


杉浦さんを驚かせるようなことを言って、思いっきりドン引きされても
それでも俺は動き始めた。

自分にできることがあるかもしれないという可能性を求めて。



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