ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
その時のことを今、想い返しても、胸が痛む
それでも、これから一緒にいる彼女には知っていて欲しかった
俺が彼女と一緒にいられるのは、兄という立場だから・・・
それを裏付ける過去が必要だと思ったから
偶然だと思った新笠寺駅での伶菜との再会を必然にしたい
そう思った俺の背後から聴こえてきたすすり泣きの声
俺が過去に流した涙と同じ涙
そう思った
寂しさ
そして
埋められない孤独感
彼女も同じ時、俺と同じようにそれらを感じていたのかもしれない
でも、もうそんな涙は流さない
そして
もうそんな涙は流させない
『俺が傍にいるから・・・だから、もう泣くな。』
約束する
これからは一緒にいるから
もうそんな涙が流させないことを・・・
だから、もし、今から風向きが変わるようなことがあっても
自分の気持ちで手繰り寄せよう
相変わらずカッコ悪くてもいいから・・・
俺は心の中でそう誓いながら、伶菜と祐希と3人で到着した彼女の自宅へ向かった。