ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Reina's eye ケース25:親友の愛ある意地悪


【Reina's eye ケース25:親友の愛ある意地悪】



”俺が傍にいるから・・・・もう泣くな。”


その言葉とともに私の頭に触れた日詠先生の手の感触がまだ残ってる
胸がキュンとする
傍にいて欲しい
離れたくない
もうここには、戻りたくない

そう思いながら自分の住んでいるマンションの前に停められた車を降りて、祐希を抱っこしてくれている日詠先生と共に自分の部屋まで歩き始めた。

いずれ日詠先生の家に同居させて貰うコトにしたのにも関わらず、彼の傍から離れたくないという想いが強くなった私は、引越し準備をするために自分の部屋へ戻るコトすらイヤになってきていた。

けれども、どんどん近づいてくる自分の部屋。

とうとうそこに着いてしまったから、日詠先生と祐希に見守られながら私は仕方なく部屋の鍵を開けた。



ガ、チャッ・・・



・・・???



『・・・・・・』


・・・・・ない

お鍋も
冷蔵庫も
ゴミ箱も

東京の病院に転院する前に真里に付き合って貰って買い揃えた
祐希のベビー用品も

全て、なくなってる?!
ヤだ、どういうコト???


何がなんだかわからなくて、恐怖感までをも覚えてしまった私は
一緒に部屋まで来てくれた日詠先生の姿を探すのが精一杯。

彼は私のすぐ後ろで玄関のドアの内側に貼り付けてある一枚の紙を指さしながら苦笑い。
私は恐る恐るその紙に目を通し、そしてそこに書いてある事を声に出して読み上げ始めた。



『伶菜へ・・・おかえり。荷物は既に運んであるから。詳しくはすぐ傍にいる人に聞いて。真里』



えっ、真里?

何???
私のすぐ傍にいる人って、日詠先生のコト?



私は呆然としながら後ろにいる彼の方をもう一度振り返った。

そこには相変わらず苦笑いをしたままの彼がいる。


「そういうコト、だから・・・助かった・・・」

『そういうコトって、どういうこと??・・・助かったってどういうことですか?』

本当に何がなんだかわからなくて力なくそう呟く私。


< 276 / 699 >

この作品をシェア

pagetop