ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Hiei's eye カルテ26:最強の応援者


【Hiei's eye カルテ26:最強の応援者】



「ナオフミくん、お土産は~?」

『お疲れです、福本さん。』


東京から伶菜とその息子の祐希と一緒に名古屋へ戻って来た日の夜の午前1時前。


「ないの?東京、行ってきたんでしょ?」

『忘れました・・・っていうか、何で知っているんですか?』


伶菜達と一緒に俺の自宅で暮らし始めた当日にも関わらず、俺は急に休むことなく真面目に出勤した。



「伶菜ちゃんの甘い香りがするから。」

『・・・・・・・』


ニヤリと悪い笑みを浮かべた福本さんは俺に近付き、俺が着ている白衣の臭いを嗅ぐ。
相変わらず鋭い勘を持つ彼女。
その一言がきっかけで、傍に居たいと言おうとしていた伶菜に返す言葉が出なかった反動で抱きしめた伶菜の感触が蘇る。

ふんわり
そして
福本さんの言う通り、甘い香りが漂う伶菜の感触
離したくないその感触



「あ~、想い出したりしてるんじゃないわよ。もしかして、まさかの童貞男子?!」

『・・・まさか。』


まさかの童貞男子じゃないけれど、こういう感触を感じたことはないかもしれない


「お兄ちゃんは妹に手とか出せないわよね~。」

『は?』

「だって一緒に住むんでしょ?」

『何でそれを?!』

「ナオフミくんの顔、見てればわかるわよ。寝不足なはずなのに、イキイキしてるもの。」

『・・・・・・・・』


寝不足なのに、イキイキか・・・
そんなに俺、顔とか態度とかに出てるのか?!



確かに、今まで今日ほど濃い一日が過ごしたことがあっただろうか?


東京まで伶菜達を迎えに行く
3人で東京から帰ってくる
途中でメロンパンを食べながら、散歩
一緒に住みたいという返事も貰う
もぬけの殻状態の伶菜の部屋で、呆然としていた彼女を自分がどうにかしなきゃいけないと思う
一緒に居たいという言葉を先に越されるのが嫌で伶菜を抱きしめてしまう

仕事に忙殺される日々を送る俺の生活には
絶対にあり得なかった自分のこういう言動

それを今の自分がしてしまっているのは
伶菜のことを妹だと見ているからなのか?



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