ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



「で、日詠先生。検温は3検でいいですね?」

『・・・・・・・・』

「日詠センセ、検温3回?!」

『・・・・・あっ、はい。3回でお願いします。』

だから、彼女が高梨伶菜という人物であることを確認できた今、
その事実によって心が大きく揺れずにはいられない。



「日詠先生、お疲れです?」

『あ~、どうかな?』

「なんかぼ~としてません?栄養ドリンクでも飲んでおいたほうが・・・」

『・・・・河野さんに言われたらそうしたほうがいいかもな。売店行ってくるよ。』

自分自身を少し落ち着かせたほうがいいと感じた俺は河野さんに言われたように売店に出かけることにした。



「日詠センセ、マグカップ!!!!!売店まで持って行く気ですか?!」

『えっ?あっ、あ~。ダメだよね。今度こそ行ってきます。』


普段ではあり得ない行動に驚いた俺は頭を掻きながら今度こそ売店に向かって歩き始めた。

もう夕方になるせいか、売店の中は見舞い客らしき人と休憩時間らしき病院職員が数人いる程度。


『栄養ドリンクなんて、久しぶり。いつもはさっさと自分で点滴しちゃうしな。』

病院内にある売店であるせいか、栄養ドリンクの品揃えも多い。


『タウリン3000?カロリーオフ?どれ選べばいいんだか。』

「あら~日詠先生、お若いのに・・・それとも今から彼女と朝までよろしくやるの~?」


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