ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



「おなじみのうなぎパイと、浜松餃子。」

『うわー。どれも好きです!』

「バームクーヘンもある。人気あるんだよね、これ。」

『スイーツ嬉しいです!そういえば浜松餃子って、もやしが一緒に添えられているやつですよね?』

「そうそう。あっ、持ち帰り餃子・・・まだ焼いていない餃子だから。焼き方の説明書も入ってる。」

『あっ、ありました!! 』


餃子の焼き方説明書を取り出して目を通した私。


『・・・上手く焼けるかな?』


丁寧に書いてあったけれど、心配になった
せっかくお土産で頂いたから美味しく食べたいのに・・・


「焼いてもらえば?入江さんに。」

『えっ?』


日詠先生にひょいっと取り上げられてしまった説明書。


「久しぶりに飲もう。ウチで。入江さんに餃子焼いてもらって。」

「焼くのはいいけど。お邪魔になるのは・・・」

突然の日詠先生の提案に入江さんはやや遠慮気味にそう答える。


日詠先生と入江さん
久しぶりに会うんだもん
入江さんが良かったらウチに来てもらえばいいのに


『入江さんの焼いた餃子、食べたいです!』

「決まりだな。ついでに泊まっていけば。明日、休みでしょ?」


昨晩、日詠先生の恋愛三角関係話とか私の自立話とかで
あんなにもぎこちなかった日詠先生と私が久しぶりに噛み合った瞬間。


「じゃあ、遠慮なくお邪魔しようかな。」

『喜んで!』


私はホイップクリーム山盛りのシフォンケーキに戸惑うことなくフォークを刺して食べ始めた。

「そういえば、頼んでいたデータ処理確認、どうなりました?」

「あっ、あれね。持ってきたぞ。はい、これ。でも、統計方法変えたほうがいいぞ。」

日詠先生と入江さんが難しそうな書類のやり取りをし始めた隣で。


< 378 / 699 >

この作品をシェア

pagetop