ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
私・・・康大クンと日詠先生を会わせたくない
なんとなく、何かよくないコトが起こりそうで
康大クンも日詠先生も頭がいい人
でも
康大クンは饒舌な人であるのに対して
日詠先生は寡黙とまでは言わないけれど、決して口がうまいとはいえない人
はっきり言って彼らは、水と油のような感じ
だから、そんな二人が言葉を交わしたら
なんとなく何かよくないコトが起こりそうな気がする
「今の人、誰?もしかして新しいカレシ?」
カレシ?!
だったらどんなにいいか・・・
日詠先生と私
そんな風に見えるのかな?
でも
私は日詠先生に過去の事実を伝えないまま
彼の妹でいるコトにした
だから、他人の前でも自分は
日詠先生の妹という存在でい続けなければならない
『カレシなんかじゃなくて、兄なの・・・たった一人の』
たった一人の兄
血は繋がっていないらしいけど
その兄は
その事実を多分知らないらしいけれど
「そうなんだ、お兄さんいたんだね。知らなかったよ。ドクターなんだね、伶菜のお兄さん。白衣姿カッコイイよね。モテるでしょ?ほっとかないよ、世の女性は彼のコトを・・・・」
そんなこと、よく知ってるよ
もう嫌ってぐらいわかってる
「でも、伶菜のコト凄く大切にしてるって感じだよね。俺の存在に気がつかないくらい伶菜のコトしか見えてなくてさ。まあ、俺もカーテンの影にさっと隠れてたけどさ。」
『・・・・・』
そう、私のコトを凄く大切にしてくれる
たった一人のかけがえのない人
「一度、改めてお兄さんにご挨拶にいかないとね・・・もし伶菜が俺と結婚してもいいと思うならね。どう?」
大好きだった彼の口から再び聞いた、結婚という二文字
さっきまで夢だと思ってた
でも、その二文字を再び耳にしたことによって
自分の目の前で起こっている事柄が、夢なんかじゃなく現実であることをようやく痛感した私。