ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋



『・・・・・』


いきなり私の前に現れて
いきなり結婚と言われても
康大クンと祐希と私が一緒に暮らしている姿が
どうしても思い浮かばない


「伶菜・・・どうかな?結婚のこと・・・」


思い浮かぶのは
祐希と私と、そして日詠先生の
ささやかだけど幸せな今の暮らしだけ



『兄は・・・兄はかなり多忙な人だから、なかなか会えないと思う。』



康大クンに返事を促された私は、結婚するかどうかという彼の質問をけむに巻くような応対をするのが精一杯。
でも彼はそんなに簡単な相手じゃない。
それは私が一番わかってる。



「彼、確か産科の日詠先生だろ?この病院にくればいつかは彼に会えるよね?」

『そう・・だけど・・・』

「それに俺、伶菜とキミとの子供を幸せにする自信ある・・・だから、彼には納得して貰うから。」

『・・・・・・・』


康大クンは結婚するかどうか、私の意思を確認してくれてるけれど
彼に納得して貰うって、なんだかすごく強引に感じてしまう

やっぱり怖い
この先、私と祐希の未来がどうにかなっちゃいそうで
怖いよ


「どうする?伶菜は?このままお兄さんの傍にいる?それともキミの子供と血が繋がっている俺と一緒になる?」

突然そんなことを言われても、選択なんてできない


「俺は自信ある。伶菜が誰よりも大事だから・・それにいつまでも伶菜がお兄さんの傍にいたら、彼自身はいつまでたっても結婚できないんじゃない?」

『・・・・・・・・・』

「あんなに伶菜のコトを大事にしてるぐらいだから、伶菜が結婚するまで、彼も結婚しなさそうじゃん。」



血の繋がり
日詠先生は私と血が繋がっていると思っているから
私をこんなにも大切にしてくれてる

それぐらい血の繋がりは大切なんだ

だったら、祐希もきっと
血の繋がった父親と一緒にいたいはず


それに康大クンが言う通り
日詠先生本人から結婚したいという女性がいるコトを聞かされたことはない
それってやっぱり私が彼の傍にいるから?

妹が自立するまで
兄は結婚しないの?

そういうことなの?



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