ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋


首元にあったかい感触?!

ん?でも、唇じゃなさそうかも

手、手だよ、手!


「さっき、真っ赤な顔してたから、リンパ腺とか腫れてないかと思って・・・でも大丈夫そうだな。」

低く落ち着いた声でそう囁く彼。
彼の長い手指は私の首から額へ移動する。


「熱もなさそうだな・・・」


なんだ
やっぱり私の体調を診てくれてただけじゃない

お医者さんだもん
私の主治医だった人だもん
私がドギマギするようなコトあるわけないじゃん

だって私の “お兄ちゃん” だもん
そうだよね?



キャッ!




今度は何?


右腕の袖が引っ張られて、衣服、脱がされる?
今度こそそういうコトが起こっちゃう?

私、さすがに勝負下着とか着けてないよ
でも真っ暗だから、いいのかな?



「ゴメン。俺、このまま・・・・」


やっぱり来ちゃった?
もう後先なんか考えず覚悟するその時が・・・





『日詠先生の、スキにしていいよ・・』


言っちゃった
もう後戻りできないよ?私


祐希の幸せとか、日詠先生自身の幸せとか
そんなの考えるコトなんかどっかにぶっ飛んじゃって
もう後戻りできないよ?



「・・・いいか?」

『・・・う、うん。いいよ。』






・・ん?

・・・ッアッ





あれ?



電気、点いてるっ
腕に針刺さってるっ

あっ、日詠先生ってば点滴パックを壁のフックにかけちゃってるっ

“ゴメン” とか “このまま” とか言っちゃってたから
てっきり抱きしめられちゃうなんて思っちゃった



「ゴメン、このまま電気点けないとさすがに点滴の調整はできないと思ってな。」


あっ、日詠先生、点滴の落下速度の調整してる
すごく真剣な横顔
“ゴメン” とか “このまま” とか

そんな言葉から
よこしまな考えが頭をよぎった自分が
情けないというか、恥ずかしいというか
そんな自分にガッカリというか
・・・ヘコむ


というか、点滴?!


「スキにしていいって言うから、スキにしてやった。」

真剣な横顔を見せたと思ったら、ニヤリと笑ってちょっとふざけてみたり・・・


「ゴハン、お前はどうする?ここまで持ってきてやる?」

ちょっとふざけてみたかと思ったら、私のゴハンの心配したり・・・


いちいちヘコんでる暇なんてない
この人はそんな余計な暇を与えてくれないから


『んーー眠いけど・・でも祐希にゴハン食べさせなきゃ・・・』

「祐希は俺がゴハン食べさせて寝かせるから。点滴が終わる頃に針を抜きにきてやるから、寝てな。」


日詠先生、いや、お兄ちゃんはそう言いながら、点滴の針が挿入されている箇所を確認し、部屋から出て行ってしまった。


『も~、今頃、再認識するとかあり得ない。』


お兄ちゃんの部屋のベッドの中でひとり改めて感じたこと
彼と過ごすこの空間の居心地のよさ

ああ、私ってば
彼から自立できるようにするために自分自身にいろいろな課題を課していたのに
逆に居心地のよさを再確認する機会になっちゃうなんて




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