ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
Hiei's eye カルテ44:気がついてしまった特別な感情
【Hiei's eye カルテ44:気がついてしまった特別な感情】
「政府の決断はもう間もなくと言ったところでしょうか?それでは、また、明日。」
目の前にあるTV画面の中では、ニュースキャスターが丁寧にお辞儀をしている。
いつもなら、それを合図に飲んでいたビールを台所まで運び、寝る準備を始める。
でも、今は
「先生のマネしただけだよ・・・なんてね・・・」
『・・・・・・・・』
「もし、日詠先生と私が幼い頃に生き別れることなくずっと一緒に暮らしていたら・・・こうやって兄である先生に思いっきり甘えるコトができてたのかなって思ったから・・・やってみただけ。」
『・・・甘えるコト・・なのか?』
背中から伶菜に抱きしめられた格好のまま、身動きがとれない。
伶菜が俺に甘える
そんなことは今までなかった
祐希の子育て
家事
俺の弁当作りまで
それらをきちんとやってくれている
愚痴とか聞いたことがなくて、負担をかけすぎではないかとこっちが気を揉むことがあるぐらいだ
その伶菜が俺に甘えるとかあまりしっくりこない
今のこの状況を本人は興味本位みたいに言っているけれど
おそらくもっと根が深いはずだ
どうなんだ・・・伶菜?
「そう。でも、これからはもうこんなコトできなくなるのかなっとも思ったから・・・だからやってみたの。」
やっぱりな
『・・・これからできなくなるって?』
充分といっていいほどワケありじゃないか
それなのに ”そうかもね” とまるで他人事のように返事をする伶菜。
突然、抱きしめられた上に、他人事みたいな態度をとられた俺は
『どういうコトだ?』
冷静を装うことなんてできない。
「・・・私ね、ずっとスキだった人にプロポーズされて・・だから入籍して一緒に暮らし始めようかと思ってるの・・・」
『・・・・・・・・・・』
突然の伶菜からの告白に頭の中が真っ白になる。