ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋
ドロドロとした感情が渦巻く自分の心とは正反対と言っていいぐらいの澄んだ青空。
若干、風が吹いているせいか、白い雲がゆっくりと流れているのも見える。
『・・・・親父、お袋・・・』
雲に隠れていた太陽が顔を覗かせ、その光の眩しさに目を凝らしながらも空を眺め続ける。
『俺は多分、間違ったことをすると思う。』
こういう気持ちのいい青空に似つかわしいとは言えない今の俺
それでも、ちゃんと伝えておかなければならない
『わかっているけど、自分の気持ちをもう変えられないんだ。』
俺を8才まで大事に育ててくれて、
そして、彼女をずっと空から見守っているであろう両親に対して、
『伶菜のことがスキだという気持ちが・・・』
俺が初めて口にする ”本当の想い” を
『だから・・・伶菜を・・・あなた方の大切な娘さんをどうか・・・』
俺が初めて口にする ”我儘” を
『俺に下さい。』
それらを空からこっちの様子を心配気に窺っているであろう彼らに伝えた。