ラヴシークレットルーム Ⅰ お医者さんとの不器用な恋


俺が自分の腹の中に隠した独り言なんか知ることもなく、嬉しそうに頭を下げて外来診察室から立ち去った伶菜。

その彼女をいつもと変わらない雰囲気で見送った後、俺は保存しておいたエコーの動画画像をもう一度確認した。


『外来診察室のエコーは超音波検査室のエコーよりもやや性能が劣るし、見間違いかもしれないし・・・』

目を凝らしてその画像を丁寧に診る。


『何回見ても・・・確認できないな。』

自分のエコー読影技術を疑った俺はすぐさま名古屋医大の三宅教授に電話をした。



「日詠クンか・・・・とうとう婿に来るという気になったかね?」

『すみません。今日は別件で。』

「そうか、残念だな。で、用件はなんだい?」


伶菜のエコー画像所見で気になったことを伝える。

すると、ウチの病院の不得意分野までも熟知している彼は名古屋医大病院の小児科医師を近日中にウチの病院へ派遣すると約束し電話を切った。

三宅教授のご配慮に感謝しながら、俺の読影に誤りがあっただけだと派遣される医師に指摘されればそれでいい

・・・三宅教授の話し声ではなく、ツーツーという通話終了音が流れている受話器を手にしたままそう思った。


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