世界で一番幸せそうに、笑え。
目の前の夏樹を見ていたら、なんとも言えない悲しさが胸に込み上げてきた。
私の方が、好きなのに。
「依、好きな人いんの?」
急に彼が紡いだ言葉は、私を期待させるには十分で。
「いるよ。めっちゃ好き。夏樹は?彼女と別れたばっかなんでしょ。」
結子の顔が頭に浮かぶ。抜け駆けしているようで苦しい。でもやめられない。
私は結子の気持ちを知っているのに。
「なんで知ってんだよそのこと…。」
照れくさそうに笑う夏樹は、彼女の存在を否定はしなかった。
いたのか、ほんとに。
「他校の女子がサッカー見に来てて告られたから舞い上がって付き合った。ほんとに悪いことしたと思う…、俺ほんとは好きな人いたのに、自分で気づいてなかった。」
じゃあ、夏樹は彼女のことを好きじゃなかったってこと?
口角が緩んでいくのがわかる。
私、最低だ。